コロナの影響を受けたオアハカの滞在。恵まれた出会いに感謝しかありません

今回はコロナの影響もあり、オアハカでの活動も出来る事に限りがありました。

 

レストラン自体がもう数ヶ月営業していませんし、やっとテイクアウトだけの営業が始まったレストランもありましたが街には観光客の姿は無く、オアハカに住んでいる人達も最初はあまり外出していなくて閑散としていました。

 

当初の予定としては、オアハカの他の地域を訪れて、やはり気に入ったレストランで働かせて貰って郷土料理を勉強する事でした。

 

しかしレストラン自体が営業していないので不可能です。

 

そんな中、少しずつですがレストランも再開の方に向かって来て営業を始めた所も出始めてきました。

 

なので、まずはコロナ対策もしっかりした上でテイクアウトのみの営業しているお店で料理を買って来て食べて勉強、という所から始めました。

 

本来は無給で良いから働かせて欲しい、という気持ちでしたが、今回はちょっと違いました。

 

それというのも、日本もそうだと思いますがコロナの影響で失業者が沢山出てしまったからです。

 

仮に無給だとしても、僕が働く事によってオアハカの人達の職を奪ってしまう事になります。

 

何度もオアハカを訪ねて、オアハカの人達には本当にお世話になったしとても感謝しています。

 

だからこそそういう事はしたく無いと思いました。

 

そりゃ僕は料理を勉強する為に来ている訳で、お金もかかっていますし時間も限られています。

 

観光や遊びに来た訳ではありません。

 

思うように活動出来なくて落ち込んだ時期もありました。

 

でもこんなにも職にあぶれている人が沢山いる中で、やはりオアハカの人達の職を奪うような真似はどうしても出来ないと思いました。

 

そんな中、オアハカのイスモ地方の郷土料理のお店に通っていたら(もちろんテイクアウトだけです)日本人の僕がこんなに毎日買いに来るものだからもの珍しかったのでしょう、ある日

 

「君はもしかして料理人?イスモ地方の料理に興味があるの?」

 

と声をかけて頂き、少しずつ仲良くなって行きました。

 

それから1ヶ月近くでしょうか、通い詰めていたら、

 

「今はコロナの影響でテイクアウトしか出来ないけど、営業出来るようになったら料理人が足りないから探しているのよね」

 

と言われました。

 

内心めちゃめちゃドキドキしました。もしかして料理教えて貰えるのかな、と淡い期待が。

 

ただ僕としてはやはりオアハカの人の職を奪いたく無い。

 

正直どうしたら良いのか全然分かりませんでした。

 

そんなある日、そのお母さんがご飯に招待して下さいました。

 

もう知り合ってから数ヶ月経っていますし、僕は観光客という訳でもないし、コロナに関しても持っていないと信用してくれたのでしょう。

 

ただご高齢なので細心の注意を払って招待を受けました。

 

その時の話では、今はまだテイクアウトだけしか営業してないけどやはり料理人が足りないらしく、少し手伝って貰えたらありがたい。その代わりじゃないけど、イスモの郷土料理を教えてあげる、というものでした。

 

そしてその人はオアハカで初めてCocina Tradicionales(伝統的な料理人)になった人で、

 

アメリカ人の料理研究家、Diana KennedyやRick Baylessに料理を教えた事で有名なお母さんです。

 

当たり前ですが、僕はDiana KennedyとRick Baylessの本も持っていますし、メキシコ料理の世界では知らない人はいないくらいの有名人です。

 

今はご高齢なので一線から退いてはいますが、そんな凄い人に料理を教われる機会なんて無いと思います。しかもコロナのこんな時期に。

 

「もし料理教室をするなら私の料理教室は高いわよ」

 

とご自分でも冗談で言っていましたが、本当にそうだと思います。

 

なぜなら彼女は若い頃には何度もアメリカやメキシコシティの有名なホテル、バハやユカタンなど、色々な場所に出向いて料理を教えていた人です。

 

そんな人にそう言って貰えて信じられない気持ちでいっぱいでしたが、今はコロナの影響があるから逆に料理人を募集したくないし、怖いから知らない人をいきなり雇うつもりも無い、という事だったので、それならお互いの需要に合致していると思い、受ける事にしました。

 

コロナのこんな時期に勉強が出来るなんて本当に出会いに恵まれました。

 

そして彼女の最後の弟子として、家族のように迎え入れて下さいました。

 

近い将来、日本にも招待したいし必ず恩返ししたいと思っています。

 

Muchísimas gracias Doña Ofelia!!!!!