オアハカ1番の高級店Criolloに行って来ました。
前々から噂に聞くレストランでしたが、流石に1人で行くには抵抗もあり、お値段も高いので中々一緒に行って頂ける人もおらず、どうしようかと考えていました。
そんな時にオアハカにお詳しいさる屋さんに声をかけて頂いた事もあり、快く承諾して頂き連れて行って貰いました。
まずお店の中に入ると、シンプルながらもお洒落な空間が広がっています。
そしてこのお店の素敵な所が、調理場も全て見学させて頂く事ができるんです。
奥の空間には離れの建物があり、そちらで仕込みをしていたり、空の下で料理している人たちもいます。
そんな素敵な空間では、普通ににわとりが散歩していたりして圧巻でした。
Criollo(クリオージョ)の料理
このお店はメニューが無く、コース料理だけです。
その日の仕入れ状況によってコース内容が変わります。
メキシコシティーの世界的に有名なお店、Pujol(プジョル)の系列だそうで、シティーで有名なエンリケオルベラというChefがオアハカの有名なChef、ルイスアレジャーノと組んでお店をやられているらしいです。
前にも書きましたが、僕はtraditionalなオアハカの料理が好きで、あまり創作的な現代の料理には興味が無かった部分もあるのですが、Criolloの料理をネットで見てこのお店はちょっと他のお店とは違うし美味しそうだなと思っていました。
定番のトスターダス(トウモロコシのトルティージャをトーストしたもの)と赤と緑の2種類のサルサ
メキシコでは普通のありふれたお通しですが、この赤のサルサがやたらと美味しい。
トマトの味が濃く、辛さも辛いんだけど嫌な辛さではない。
トマテリニョンというクリオージョのトマトを使っています。
この手のサルサにはチレアルボルという鷹の爪に似た辛味の唐辛子を使う事が多いのですが、このお店はアバネロを使っていました。
僕は日本の鷹の爪系の辛さはそんなに得意では無いのですが、アバネロの方が辛いのに、アバネロの辛さは好きなんです。
それにチレアバネロはちょっと独特の風味、旨味を持つ唐辛子です。その風味が好きなのですが、このサルサはまたちょっと違った丸さがあるというか、トマト自体の味と混ざってさらにまろやかになっていました。
この時点で僕としてはかなりの衝撃。
次に運ばれて来たのが、こちら。
メキシコの定番の前菜、ワカモレとオアハカの人気のアントヒートス、メメリータス
ワカモレというのがアボカドのソースなのですが、元々はよく肉料理のサルサとして使っていたのが、あまりにも美味しいので前菜として食べられるようになった料理。
日本でもメキシコ料理のお店では必ずある人気の前菜です。
クリオージョのワカモレは上に色々なハーブが沢山乗っていて、ワカモレ自体が隠れているほどです。
普通はシラントロ(日本ではパクチーと呼ぶのが主流)だけなのですが、その他にもパセリやオアハカ特有のハーブが沢山乗っていました。
メメリータスはオアハカの人気のアントヒートスで、基本的にはアシエントという豚の油を塗り、フリホーレス(豆のペースト)を塗ってチーズを乗せたもの。
クリオージョではひき肉を乗せて上にはオアハカで良く使う、ベルドゥラガスという葉っぱが乗っています。
お洒落なレストランでは良く使っていますし、日本でも近年使っているお店もあります。
日本名はスベリヒユと言うらしく、野草だそうです。
オアハカ原産のトマトのカプレーゼ。
オアハカのクリオージョ、トマテリニョンと、ヤギのフレッシュチーズにマンゴーのソースがかかっています。
なんか普通ぽい料理だし、どちらかと言うとヤギの風味は得意では無いんだよなーと思ったら、これがまたびっくり。
このマンゴーのソースがトマトとチーズに見事にマッチし、素敵なマリアージュを演出してくれています。
1つ1つ別々に食べるのとでは味が違う。
まさにこれがマリアージュ。
料理の真髄の1つを見た気がします。
素材の組み合わせの抜群のセンスと確かな技術が感じられる1品でした。
ジャガイモのスープ
中にはちょっとカリカリにしたサルチッチャ(ソーセージ)が入っています。
この取り合わせも抜群に美味しく、チェピチェというハーブが味を膨らませます。
見た目は質素ですがまさに大地の味を感じる素敵なスープでした。
エビのタキートス
バターでソテーしたエビと、エビの殻をカリカリに揚げたものが乗っていました。
隠し味のハーブが味を引き立てます。
タキートスとは小さいタコスという意味で、本来は筒状に丸めて半分揚げた料理だったりしますが、メキシコではこういったタコスでもタキートスと表現することもあります。
これもChefのセンスを感じられる素晴らしい1品。
牛肉のモレアルメンドラド。焼きカリフラワーとキノコ添え
日本の和牛レベルの牛肉でとても柔らかい、かつ肉の味も濃い。
素材を吟味しているのが伺えます。
モレアルメンドラドはオアハカのモレの1つでアーモンドを使ったモレです。
それにPortobello(ポルトベージョ)というキノコが乗っています。
この組み合わせも素晴らしく、まさに絶品でした。
2種類のカモテ、バナナクリーム
カモテとはさつまいもの事で、黄色と紫いものスーイートポテト。
下にはバナナのクリームが敷かれています。
これも素朴ながら絶品。
特に女性はお好きな人が多いのではないかなと思います。
オアハカの1番の高級店、Criolloで食べた感想、まとめ
今回、Criolloにお邪魔してみて、かなり勉強になりました。
料理の出し方、見せ方、味の構成、全てにおいて僕は大好きです。
どれも着飾りすぎた料理ではないですが、どれも1皿にオアハカを感じられる、実のある味でした。
僕はまずはメキシコの料理、オアハカの料理の素晴らしさを日本に伝えたい、という気持ちがあるのでまたCriolloの料理とはちょっと違うのですが、やはり料理人である以上、このお店のやっている事は僕のやりたい事の1つでもありますし料理人としての行き着く場所なんじゃないかと思います。
僕は歳を重ねてから、小さいお店で、自分で野菜を作り、自分で器を焼き、今まで勉強した料理の集大成としてメキシコの料理を基本とした創作料理をやりたいとも漠然と思ってて、まさにそれの理想形がここにあった気がします。
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