オアハカに来てからの苦悩と葛藤と衝撃

オアハカに来てからブログに書ききれないくらいの沢山のレストランに行きました。

僕は元々、最近のオシャレなメキシコ料理にはあまり興味が無く、オアハカのトラディショナルなお店で働きたいと考えていて、70年以上前から営業している老舗なども行きましたが、率直な感想はなんかピンと来ないと言うか、なんか求めているものとは違ったんです。

それに昔は美味しかったのにあまりにも観光客向けになりすぎていて僕としてはちょっと残念だな、とか味が変わっていたなど沢山ありました。(勿論それが良いと思う人もいるので、それが悪い、と言っている訳ではありません)

そう考えると僕の兄貴分の修行したお店は抜群に美味しいし、とても信頼できるお店です。

僕も兄貴分の紹介でちょっとだけお世話になった事もあるのですが、また今回もお世話になるか迷っていました。

Tio Gueroというお店なのですが、オアハカに来たら間違い無く行った方が良いお店です。

このお店を見つけた兄貴分の素晴らしさをしみじみ感じながら、また、ある意味この先どうしようと不安も抱えながら過ごしていました。

勿論オアハカで情報収拾したり、毎日色々な道を歩いてお店を探したり、夜な夜なネット検索したりしてお店を探していたんです。

ある晩、そんなトラディショナルなお店に拘らずにちょっとオシャレな事してる近代のお店もそろそろ勉強しようかな、と思っていたら…

なんとついに美味しそうなお店を発見してしまったんです。

そのお店はトラディショナルではなくてインターナショナル、となっていたので今まで名前は知ってたけど、名前からしても観光客向けだしじっくり料理まで見た事はありませんでした。

でも料理を見た瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けてしまい、お恥ずかしい話、そのお店に行くまでの2日間くらい嬉しくて良く眠れませんでした。

なんか楽しくなってしまって…料理の写真も見るからに美味しそうなんです。

僕はどちらかと言うとメキシコ料理って、盛り付けは繊細じゃないと言うか、あまりオシャレにしすぎてしまうとメキシコらしさが失われてしまう気がして、フレンチみたいにあまりオシャレにしすぎているメキシカンはメキシカンじゃ無い、とまで思っていました。

そんなオシャレな料理がやりたいのならフランス料理やれば良いじゃんと思ってたし、フランス料理の中にメキシカンを取り入れるのは素敵な事だと思うのですが、そんなオシャレな料理をメキシコ料理だって言って出されてもピンと来ないというか、間違った認識を日本の人たちに植え付けてしまうんじゃないかと思っていたんです。

ところが、このお店の料理はオシャレなんだけどメキシコを感じると言うか、崩しすぎて無くてセオリーもちゃんとある。

正直飲食に携わった事がある方なら少し理解してもらえるかと思うのですが、写真を見ただけで美味しいか美味しくないか、なんて一目瞭然で分かったりもする時があるんです。

この素材をこう調理したら絶対美味しいとか、この焼き加減は絶妙だな、とか色々な要素がありますよね。

それに僕の1番好きなモレの盛り付けが、正直僕が理想として、こういう感じで提供しようかな、と思ってた盛り付けそのものだったんです。

こんな感じです。

これはこのお店のアーモンドモレ。

モレとは元々煮込み料理なのですが、僕たちは師匠の教えもあり、日本で提供する時には鶏肉は煮込んだ鶏肉では無くて、焼いた鶏肉にモレをかけて提供するようにしています。

勿論煮込んでホロホロになった鶏肉も美味しいのですが、焼いた鶏肉の方が日本人には馴染みがあり美味しく感じられると思っています。(勿論人それぞれ好みがあるので一概には言えません)

勿論メキシコでは煮込んだお肉が多いのですが、このお店は珍しく皮面をパリっと焼いて提供していました。

それにアーモンドスライスをトッピングするなんてメキシコでは見た事が無かったのですが、僕はまさにこんな感じにしたいと思っていたんです。

色々書きましたが、きっと単純にこのお店が僕の好みに見事に合致していたと言う事なのだと思います。

名前は、Restaurante Catedral(カテドラル)と言います。

カテドラルとは大聖堂と言う意味で、いかにも観光客向けなのかなって思ってました。

そしたら勿論インターナショナルでありながらもトラディショナルで、1976年創業で約43年も前から営業している老舗だったんです。

長々と書いてしまったので今回はこの辺にして、次にそのお店に行った時の事を書こうと思っています。